あんつぁんの風の吹くまま

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五箇条の御誓文だけでなかった天皇の大御心を表した文(明治維新の真実)

 天皇の譲位により元号が変わる事で、日本国における天皇の意味について広く議論される事になりました。この事は、日本の将来だけでなく、文明とは何かを考える良い機会になると確信しています。

 その古い歴史をひも解けば、外国からの侵略を防ぐために、既に日本は国家として一つに纏まっていたことが分かります。その国家として纏まっていた証が元首、即ち天皇なのです。

 近代の日本が西洋からの侵略を防ぐ事が出来たのも、天皇の地位が、国家の元首として、揺るぎないものであったからです。その明治天皇が神に誓った五箇条の御誓文は良く知られていますが、その時に、国民に対して明治天皇が約束された御言葉については、今まで全く知りませんでした。

 こちらのブログから拝借して、その御言葉を掲載します。

億兆安撫国威宣揚の御宸翰(おくちょうあんぶこくいせんようのごしんかん)
朕幼弱を以て猝(には)かに大統を紹き爾来何を以て万国に対立し列祖に事へ奉らんかと朝夕恐懼に堪えざるなり。蜜かに考ふに中葉朝政衰へてより、武家権を専らにし、表には朝廷を推尊して実は敬して是を遠ざけり、億兆の父母として絶えて赤子の情を知ること能はざるやう計りなし、遂に億兆の君たるも唯名のみに成り果て、其が為に今日朝廷の尊重は古に倍せしが如くして朝威は倍(ますます)衰へ上下相離るること霄壌(しょうじょう)の如し。斯る形勢にて何を以て天下に君臨せんや。今般朝政一新の時膺(あた)りて天下億兆一人も其所を得ざるときは、皆朕が罪なれば、今日の事朕躬(みずか)ら身骨を労し、心志を苦しめ、艱難の先に立ち、古列祖の尽させ給ひし蹤(あと)を践(ふ)み、治績を勤めてこそ、始めて天職を奉じて億兆の君たる所に背(そむ)かざるべし。往昔列祖万機をみずからし不臣の者あれば自(みずか)ら将として之れを征し給ひ、朝廷の政、総(すべ)て簡易にして此の如く尊重ならざる故、君臣相親(したし)みて上下相愛し、徳沢天下に普(あまね)く、国威海外に輝きしなり。然るに近来宇内大いに開け、各国四方に相雄飛するの時に当り、独り我国のみ世界の形勢に疎(うと)く、旧習を固守し、一新の効を計らず。朕徒(いたず)らに九重の中に安居し、一回の安きを偸(ぬす)み、百年の憂を忘るる時は遂に各国の凌悔を受け、上は列祖を辱しめ奉り、下は億兆を苦めんことを恐る。故に朕ここに百官諸侯と広く相誓ひ、列祖の御偉業を継述し、一身の艱難辛苦を問はず、親ら四方を経営し、汝億兆を安撫し、遂には万里の波涛を開拓し、国威を四方に宣布し、天下を富岳の安きに置かんことを欲す、汝億兆旧来の陋習に慣れ、尊重のみを朝廷の事と為し、神州の危急を知らず。朕一度(たび)足を挙げれば非常に驚き、種々の疑惑を生じ、万口紛紜(ふんうん)として、朕が志を為さざらしむ時は、是(これ)朕をして君たる道を失はしむるのみならず、従て列祖の天下を失はしむるなり。汝億兆能能(よくよく)朕が志を体認し、相率(ひき)ゐて私見を去り、公儀を採(と)り、朕が業を助けて神州を保全し、列祖の神霊を慰し奉らしめば生前の幸甚ならん。

現代語訳
私は幼く弱いので突然皇位を継承して以来、どうやって世界と渡り合い、御先祖様にお仕えしようか、そのことを毎日心配している。じっと考えていたことがある。中世に朝廷のまつりごとが衰えると武家が権力を握り、表向きは朝廷を崇めて、実際は敬して遠ざけ、万民の親として子がどうなっているかを知ることが出来ないように仕向け、ついには万民の君主と言っても名ばかりのものに成り果ててしまった。そのために今日、朝廷は昔よりずっと尊重され、その力はますます弱くなり、民との距離は天と地ほども離れてしまった。このような状態でどうして天下に君臨できようか。いま、朝廷の政治を一新する時にあたって、天下万民が力を奮えないようなら、それは私のせいである。自ら骨を折り、心を悩ませ、皆の先頭に立って困難にあたり、御先祖様が歩まれた道を歩んで統治に努めてこそ、はじめて万民の君主となれるのである。その昔、御先祖様は何ごとも自ら行動された。従わぬものがあれば自ら軍を率いて討伐し、朝廷のまつりごとは何ごとも簡素で今のように重々しいものではなかったので君主も臣下も仲が良く、互いに思いやりを持ち、その恩恵は天下にあまねく広がり、国威は外国にまで輝いたのだった。それなのに最近では、世界が大いに発展し、各国は世界で雄飛しているという時に、ただ我が国だけが世界情勢に疎く、古い習慣に固執し、改革が進まない。宮中で安穏としてその場その場で楽をして、長期的な問題を忘れたせいでついには各国に攻めこまれ、御先祖様を辱め、万民を苦しめることになることを、私は恐れている。それゆえ、私はここに、百官諸侯とお互いに約束する。御先祖様の御偉業を継ぎ、自らの艱難辛苦をものともせず、自ら国家を経営し、あなた方国民全体を幸せにし、最終的には遠く海外を開拓し、国威を世界中に広め、天下に揺ぎ無き平和をもたらしたいと思う。あなた方国民は、昔からの悪い習慣に慣れて、朝廷を敬うばかりで、神国日本の危機に気付いていない。私の一挙手一投足に驚いて、あれこれと疑って、皆で混乱して私の志を遂げさせないならば、私を君主として挫折させるばかりか御先祖様の国を滅ぼすことになる。あなた方国民がよくよく私の志を理解して、助けあって自分の利益ではなく公共を取って、私の仕事を助けて日本を保ち、御先祖様の霊を慰めてくれるならば、生涯の喜びとなるであろう。
 この時代に、国の君主や元首が国民に向かってこのような約束をした国が他に在ったでしょうか。そのことを考えただけでも、天皇が文明国家の証であり、日本の将来のためになくてはならない存在であることが理解出来ると思います。


           *  *  *

    正義と博愛の満ち溢れる社会を目差して

by antsuan | 2019-04-14 22:30 | 思想・瞑想・時代考証 | Trackback | Comments(0)