2005年 11月 30日
宮大工の心バブルが崩壊し、かれこれ十五年近くもデフレが続いている今、近隣の建物の様子は劇的に変化しています。築後三十年も経ていない立派な鉄筋コンクリート造りの建物がどんどん取り壊され、葉山でもそこここに、また新たに鉄筋コンクリートや鉄骨造りの高層建築物が建っています。もう、私が住み始めた頃からの建物など殆ど見当たりません。この間も県道の拡幅のために近くの古い蔵が取り壊されてしまいました。 地震が遭ったわけでもなく、戦争の被害に遭ったわけでもありません。こうしてみると、いったい鉄筋コンクリートで建物を造る事の意味は何なのだろうかと考えてしまいます。百年二百年持つ永久的な資産として造られた訳ではなかったのでしょうか。 今年亡くなった知り合いの良心的な地上げ屋さんが、「マンションは絶対に買わない方が良い、日本のビルに資産価値はない」と、言っていました。自らバブルの勢いに乗り地上げをして造った物がものの見事に壊されて行くのを見て悟ったのだと思います。 そして今度は、モラルハザードと云うか、社会規範の崩壊と云うか、建築物の信頼性を揺るがす事件が発生してしまいました。これはある意味で自然破壊をした祟りではないかと思うのです。昔の宮大工は、人の創るものに完全なものはないと神様に敬意を表し、造った建築物の何処かをわざと未完成にしたと云います。 日本の現代の建築家も今一度この謙虚さを見習って欲しいと思わずにはいられません。
by antsuan
| 2005-11-30 20:37
| 身の回り・思い出
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平成15年(西暦2005年)3月開設
世の中、理不尽なことが多すぎます。それが普通の世界だということがようやく分かってきました。しかし人間として生きるためには獣のように本能に心をゆだねるのではなく、精神をしっかり持たねばなりません。「健全なる肉体に健全なる精神を宿らしめよ」を自戒の言葉に、右左あんつぁん(東北弁で臍曲がりなこと)の本領を発揮して、いろいろ書いてみたいと思います。どうぞ宜しく。
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