2012年 12月 14日
「弔う」とは死者の思いを訪れ、問い尋ねて聴いてやることである
日本人ほど、死者の思いを知る民族は、居ないのではないでしょうか。それは、宗教哲学者である山折哲雄の言葉を借りれば、神と人間と仏は、前世から現代、そして未来へと、連続してつながっているものであり、鎮魂こそが、未来へと生きるための、生者の慰めになっているのだと思うのです。
残念ながら、古都鎌倉の近くに住んでいながら、日本を代表する芸能である「能」を、一度しか観たことがありません。しかし、この新聞記事に書いてあるように、能の演目の多くは、怨念と鎮魂が主題になっているようです。 つまり、生前どうにもならない、悲しみや苦しみを抱いたまま死んで亡霊となったものがシテ(主人公)であり、そうしたシテのところに、ワキ(脇役)の僧が訪れ問うことによって、シテがこの世に残した思いが聴き届けられ、再現されるという形は、大陸の思想とはおよそかけ離れた、死んだ者へ感謝することによって生者は護られるという、日本的仏教思想を表しているのだと、感ぜずにはいられません。 十二月八日の東京新聞朝刊より抜粋 [祈りとは自然との対話のこと こころで尋ねれば こころからの答えがもらえる]
by antsuan
| 2012-12-14 12:29
| 思想・瞑想・時代考証
|
Trackback
|
Comments(4)
Commented
by
sweetmitsuki at 2012-12-14 18:45
大陸のお弔いは紙に描いたお金や家電製品や美女やらをお棺に入れるとかワケワカリマセン。
日本のお弔いでは葬式饅頭が振舞われますけど、そういえばチャイナのお菓子にはロクなものがありませんね。 杏仁豆腐は本当は・・・おっと、これは武士の情けですからやめときましょう。
0
Commented
by
antsuan at 2012-12-14 20:25
・敗者の霊を鎮めるという日本の発想はいったいいつごろ起こったのでしょうね。
わたしは老子は日本人のような気がしてしかたがないのです。
Commented
by
cocomerita at 2012-12-16 23:16
Ciao antsuan
お久しぶりです いい文章を読ませていただきました ありがとう 悼むがわが心の痛みから、、誠にその通りだと思います そして、逝ってしまった人を思い出すことが傷をまた開く事につながっても、忘れたくないという気持ちも良くわかりますし、思い出す事が供養に繋がると、それもまたよくわかるんですよね 人間って苦しむために生きてる生き物かも、、と時々思います
Commented
by
antsuan at 2012-12-16 23:39
・ cocomeritaさん、未来の人々が自分たちの苦しみを理解してくれると分かればこそ、その苦しみを乗り越えられるのではないでしょうか。
何時かは亡き人になる自分のために、逝ってしまった人を深く思い起こしてみたいと思います。 |
平成15年(西暦2005年)3月開設
世の中、理不尽なことが多すぎます。それが普通の世界だということがようやく分かってきました。しかし人間として生きるためには獣のように本能に心をゆだねるのではなく、精神をしっかり持たねばなりません。「健全なる肉体に健全なる精神を宿らしめよ」を自戒の言葉に、右左あんつぁん(東北弁で臍曲がりなこと)の本領を発揮して、いろいろ書いてみたいと思います。どうぞ宜しく。
* * * お断り エキサイトブログ利用規約の禁止行為に抵触するような発言及びトラックバックについては断りなく削除します。 最新のコメント
記事ランキング
検索
フォロー中のブログ
海峡web版 掬ってみれば無数の刹那 (まめ)たぬきの雑記 マイ・ラスト・ソング カナダ生活♪~Cross... 草仏教ブログ 江戸川土手を歩く Hey! Manbow 中野 馨一が創る 外構、... 村人生活@ スペイン mitsukiのお気楽大作戦 九十代万歳! (旧 八... デンな生活 ふらわ~ずroom 夕焼けわんわん♪ 幸せごっこ お姫様とゾウリムシ 旅は靴ずれ世はお酒 私がローマで独りで始めたわけ 夕子ちゃんだより 飛んでも五分歩いても五分 遺言&形見分け 港座・酒田台町シネマスト... まろんだより ゆっくり生きる Just The Way... 黙って寝てはいられない!... 俺の心旅 閉鎖しました。 脳梗塞&重症筋無力症闘病ブログ 外部リンク
画像一覧
以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 more... カテゴリ
ライフログ
歴史・伝統文化
政治経済
その他の文庫
タグ
ファン
ブログジャンル
|