2005年 07月 09日
川の形態
「江戸川土手を歩く」の雨の日の物思いに載っている川の風景と、「重箱の隅でごろごろごまめかな」の月島から新大橋までに載っている川の風景を見ると同じ水辺でもこんなにも面影が違って見えるのかと少々驚いてしまいます。
この連休には秋田の雄物川が流れる田舎へ帰る予定なのですが、去年はやはり豪雨で溢れる寸前の雄々しい雄物川の流れを見てきました。そう言えば、学生時代には帰省途中の奥羽本線で鉄砲水に会い、危うく列車が押し流される目に会いました。 その頃は未だ東北新幹線が無かったので秋田の田舎に行くには、奥羽本線経由で行くのが普通でした。奥羽本線は今でも単線で、すれ違いの待ち合わせなどで遅れることはよく有ることなのですが、その時は、後ろから来ている特急列車が先に追い越すことになっていたのです。予定より遅れていたのですが、及位(のぞき)という駅でその遅れている特急列車を待っていました。待たないでそのまま出発していれば、すぐ目の前の院内峠のトンネルを抜け、何事もなく田舎へ帰れたのです。運命とはそう云うものかもしれません。 空模様は、雨が間断無く降り続き山には霧がかかっていました。ようやく特急列車が到着し、出発しようとした矢先、駅の前の線路が鉄砲水で土砂に埋まってしまったのです。そうこうするうちに今度は線路の後の山からも鉄砲水が、また列車が止まっている斜面も崩れ、もうどうしようもなく動けなくなってしまいました。 暫くして、峠の向こう側から救援のバスがやって来たのですが、バスが走っている国道の山腹からも鉄砲水が溢れ出し、バスが慌ててバックするのが見えます。すると今度はバスの後ろからも鉄砲水が襲いかかるという光景をハラハラしながら見ていました。 更に、及位駅と其のバスが立ち往生している国道との間にある真室川が見るみるうちに溢れ出し、周りの小さな田んぼを巻き込んで激流となって電信柱等をなぎ倒し、小さな橋も壊し、辺り一帯が大きな川と化してしまいました。 鉄砲水の恐ろしさをまざまざと見せ付けられましたが、駅長以下、国鉄職員はこの緊急事態に冷静に対応し、線路伝いに救援物資を持ち込み、乗客全員に毛布を支給し、更に地元の人たちが炊き出しをしてくれて、皆におにぎりが配られました。 一夜をその駅の列車の中で過ごした後、真室川の水が引いたのを見計らって、救援のバスの車掌の案内で、鉄砲水の跡が残る国道をはだしで峠の向こうまで歩いて行き、災害の現場を離れました。 実は川の氾濫の被害にあったのはこれが二回目で、最初は小学生の時で、逗子の田越川が氾濫し床上浸水して、隣りの家の二階へ避難させてもらったことがあります。 普段どうと云うことの無い川ですが、体験するということは、本当に重要なことだと思います。災害に対する心構えを無意識に常に持っています。
by antsuan
| 2005-07-09 00:20
| 身の回り・思い出
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Comments(3)
関連ネタです。先日行った故郷では去年の大雨で壊れた護岸の修復が終わってました。
薪をとらなくなり放置された山から大木が流され、河の曲がり角で岸に激突、コンクリートの護岸を壊し、橋桁を壊し、数日後は漁船のスクリューを壊したそうです。自然災害にも時代の流れですね!
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knaito57
at 2005-07-12 18:33
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雄物川・真室川・田越川が、こわもての「あんつぁんの心の川」ということになりますか。ふるさとの川、現住地の川、よく歩いた川……振り返ると、ライフステージごとにいくつかの川があるものですね。私は玉川上水・神田川・江戸川なんです。
さくら咲きあふれて海へ雄物川(森澄雄) 真室川は“音頭”で有名なあれですか。私は子どものころなぜか「まぐろ川」と覚えてしまったんですが、向田さんの「眠る盃」とか、そういう覚えちがいって誰にもありますよね。
Commented
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antsuan at 2005-07-12 23:13
大きな川は今でも多少昔の名残がありますが、鮒をとった福島駅裏のあの小川は本当に心の中にしか残っていません。
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平成15年(西暦2005年)3月開設
世の中、理不尽なことが多すぎます。それが普通の世界だということがようやく分かってきました。しかし人間として生きるためには獣のように本能に心をゆだねるのではなく、精神をしっかり持たねばなりません。「健全なる肉体に健全なる精神を宿らしめよ」を自戒の言葉に、右左あんつぁん(東北弁で臍曲がりなこと)の本領を発揮して、いろいろ書いてみたいと思います。どうぞ宜しく。
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