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上坂冬子の遺したもの

作家の上坂冬子さん死去
          4月17日13時35分配信   産経新聞


 本紙「正論」の執筆メンバーで、近現代史に切り込む著作で知られるノンフィクション作家、上坂冬子(かみさか・ふゆこ、本名・丹羽ヨシコ)さんが14日、東京都内の病院で死去したことが分かった。78歳だった。

 昭和5年、東京都に生まれた。名古屋文化学園を卒業後、勤務した自動車会社の労働争議にテーマをとった作品で昭和34年に第1回「思想の科学」新人賞を受賞。その後、戦犯、中国・台湾、北方領土、原発問題など幅広い分野で数々の作品を生んだ。きめ細かな取材と冷静な事実検証に定評があり、菊池寛賞、第9回正論大賞を受賞した。

 北方領土ではロシアによる占拠の非を訴え、平成16年、四島の一つ国後(くなしり)島に本籍地を移して自ら返還運動にも参加した。正論の最後の原稿(昨年6月26日付)も、北海道沖でロシア警備艇に銃撃された日本漁船の扱いをめぐる外務省の不手際に苦言を呈するものだった。

 最近では、病をおして本紙1面コラム「老いの一喝(いっかつ)」を執筆、その反骨精神に裏打ちされた歯切れのよい社会評論が注目された。3月21日付の「郷愁誘う戦時下の童謡」では「戦時中に歌われていたのを、軍国歌謡として毛ギライする人もあるが、あまりに浅はかで無分別だ。いい歌が多い」と見直しを訴えた。

 また、若者の育成のため設けた「産経志塾(しじゅく)」では昨年12月、車いすで講師をつとめ、若い塾生たちを前に、生きるうえでの「志(こころざし)」の大切さを力説した。


 鶴見大輔に見出された自動車会社の一介の女子事務員。女性ならではの、冷たい目で見詰めた社会の矛盾と、それを問いただす鋭い言葉。日本人が引き継いできた歴史ある伝統を、より血の通ったものにするべく、筆を走らせた人生。
 
 あらためて彼女の生き方に敬意を表します。
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by antsuan | 2009-04-17 18:09 | 思想・瞑想・時代考証 | Comments(0)