あんつぁんの風の吹くまま

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時の旅

旅に出たいとは思わなかった

 何故だか分からないが、大人になっても旅に出たいとは思わなかった。そのわけをつらつら考えると、昭和三十年代始めの旅は、そんなに簡単なものではなかったからだと思う。

 そう、旅は引っ越しと同じだったのだ。住まいを捨てる、もうその地には戻れないかも知れない別れを、旅は意味していた。

 上野駅の雑踏。そこは人を見送る最後の場所なのだ。だから旅に出たいとは思わなかった。

 旅、それはまた故郷へ帰る意味でもあった。目的のない旅は考えられなかった。

 昔を思い出してみようとアルバムをぴっぱりだしてみた。古い写真の中に、母が少女時代に住んでいた世田谷中原での母の写真があった。昭和十八年と記してある。戦災に遭う前の写真。
d0001610_23282675.jpg

            一番右が母


 昔を思い巡らす時の旅。アルバムをめくっていると、それはまるで故郷へ帰る列車の揺れる座席に座っているようだ。
by antsuan | 2008-08-26 23:45 | 身の回り・思い出 | Comments(14)
Commented by cazorla at 2008-08-27 00:39
旅をしたはずで 旅をしたことのない人
旅をしていなくても 旅をした人 
旅は 肉体移動ではなく 自分との会話かもしれません。
あんつぁんは 旅をしているから 旅に行く必要もないのかも。

自分の価値を見いだしたくて 旅に出る人っていますよね。
そういう人は結局戻ってきても 変わらない。
どこに言っても自分を引きずっていると 場所移動だけ。
良い旅をしたいです。 あんつぁんみたいに。
Commented by antsuan at 2008-08-27 07:04
・誰だったか忘れましたが、ウィーンにいて一度も旅をしたことの無い有名な哲学者がいました。ウィーンが当時は国際都市で、世界中の知識人が集まり会うことが出来たから、彼は立派な思想を持てたのだと云います。

カソルラさん、私も幸いにして居ながらに旅をし、素敵な方と会い話をすることが出来ます。多分、小さい時も、世界一周をして来た祖父母がそばにいたので、心の中では十分に旅をしていたのかも知れません。
Commented by saheizi-inokori at 2008-08-27 07:21
そうですか?
私は小学校、中学校の頃から独り、又は弟を連れて遠くに行ったことが何回かあります(目的はあったから“旅”とは言わないかもしれないけれど)、大学の頃はさすらったことも。
今思うとあの頃の方が本当の“旅”だったような気がしますよ。
Commented by さかぴ at 2008-08-27 07:21 x
ハロー 海の上も涼しい日が増えてきたねぇ でも相模湾 カツオに大型キワダマグロ回遊中にてフィーバーしてますじぇい 季節のご挨拶状ありがとぅー
Commented by antsuan at 2008-08-27 07:44
・佐平次さん、観光地に住んでいるからかも知れません。みんながわざわざ旅をしてやってくる素晴らしい所に住んでいるのに、こちらから旅をすることもないかと。(苦笑)  それと、夜食付きの自衛艦であちこち旅をしましたからね。それで満足しちゃったのかも知れません。

Commented by antsuan at 2008-08-27 07:45
・サカピさん、今度の日曜日は深く潜る潜行板を試してみるつもりです。十キロ以上の大物を釣ったらどうしょう。
Commented by kisaragi87 at 2008-08-27 18:25
旅ってなんなのでしょうね
私はよく、あまり意味のない旅をしました、
意味がないことに、意味があったようにも思うし
何もなくても、その時の思い出だけは、くっきりと残りました。
それぞれの旅があるからいいのかもしれませんね。
お母さま、しゃんと背筋がのびて、まっすぐな眼差しがすてきです。
Commented by asuno-kazemachi at 2008-08-27 20:13
旅をしてきて思うのは、やっぱり最後は人だということです。
何のために旅をしたのかと考えると、その頃は気づかなかったけれど、今は誰かに出会うために旅をしたのではないかと思い当たります。
そして、やはり旅は、人を旅するのが最も面白い。
だから、きっとブログをしているんでしょうね。

古い故郷へ帰る汽車は、チョコレート色の木の床と窓枠でなくてはいけません。
直角の硬い椅子から、動輪の響きが伝わってきて、お尻の痛みと心の痛みが同化して、動輪と鼓動が呼応しなければ、などという郷愁めいたこだわりがあります(笑)。
Commented by antsuan at 2008-08-27 21:00
・kisaragi87さん、ようこそ。
生物の居ない所へ旅をするでしょうか。多分しないと思います。旅って、出合いと別れの繰り返し。その新鮮さが旅の喜びなんでしょうね。

夫が戦地に行っている間の実家での記念写真でしょうか。大空襲で家が焼けて写真もほとんど消失してしまったので、母にとっても貴重な写真だったのだと思います。
Commented by antsuan at 2008-08-27 21:00
・風が吹いて目に見える足跡が消えても、人の心の中には必ずその人の足跡が残っているに違いありません。人との出会い、そして別れ、旅ならではの感動です。
風待ちさん、人生そのものが旅ですよね。私も旅を続けたいと思います。
人間到る処青山あり (じんかん、いたるところせいざんあり) ですよね。

怖ーい会社の物語、面白かったなぁ。(笑)

Commented by toqqun at 2008-08-27 22:32
ワンピースがハイカラさんですね。
私の母のこの頃の写真は、着物かモンペ姿のものばかり。

何気ない日常の中にも、ふと旅を感じる瞬間があります。
少し立ち止まって、目を閉じてみる、心にさしこむ日差しをのぞいて
みる、
そんな時間を大切に過ごしていきたいです。
Commented by mimizu_biki at 2008-08-27 23:40
カソルラさんの後じゃどんなコメントもかすんで見えるからパス!
Commented by antsuan at 2008-08-28 06:58
・トックンさん、そういえば母は洋裁学校を出ていたんでした。

孤独を感じる時人は旅に出たくなるのかも知れません。しかし、孤独でなくても寂しさを感じる時もあります。漠然とした不安。夢を見続けるために、旅に出るのもいいですね。
Commented by antsuan at 2008-08-28 07:00
・ふるさと探しの旅って云うのもあるんじゃないかと。

セイロンベンケイさん、再会を約束する旅もいいなぁ。
バスストップでの別れってカッコいい!