あんつぁんの風の吹くまま

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西部劇で育った少年時代

 何故だか分からないけれども、近年新しい映画を全然観たいと云う事が無くなってしまった。テレビもドラマを観たいとも思わない。好きな俳優がいないからだろうか。好きな監督の作った物が無いからか。最も此の所こらえ性も無いほど涙もろくなったので、みんなと映画を観る事が出来ないと云う不安もある。本を読んでいても涙が出てきてしまって、図書館から借りて本を読んでも汚すといけないのでそれも控えている。いやいや本当に情けない。

 先日、BS放送だったか何かでケビン・コスナーの出世作「ダンス・オブ・ウルブス」とか云うのをやっていた。良い映画だとは聞いていたが、今迄見る機会が無かった。観てみると、どうやら白人とインディアン(アメリカ原住民)との心温まる物語らしいのだが、血なまぐさいシーンが出てくる。どうもハッピーエンドでは終わらなそうだったので途中でテレビを切ってしまった。

 子供の頃、映画は西部劇から見始めた。テレビでもララミー牧場、ローハイド、ボナンザ等結構良い西部劇が沢山あったので、時代劇や現代物など全く観なくてもちっとも飽きなかった。何と言うことはないアメリカかぶれの子供だったのだ。しかし幸いなことに、其の西部劇の殆どが良き人、良き家庭、良き社会を描いたヒューマニズムを基にしたものばかりだったような気がする。

 此れは米国政府の国策によるものだったのだろうか。多分そうだと思う。レッドパージが映画界に吹き荒れ、チャップリンがアメリカ映画界から追放されたのも、国からの思想弾圧を受けていたのだ。しかし、移民達によって形成された社会をまとめるにはこのような映画映像教育は必要不可欠のものだったのではないだろうか。

 「カサブランカ」、「誰がために鐘は鳴る」の映画も元々は国策映画だったと聞く。其れにしても何という名作だろう。きっと母国を捨てた移民の監督、俳優達の切ない思いが込められているに違いない。同様に西部劇においても単なる活劇に終わらせず、人種差別や偏見は綺麗に覆い隠されているけれども、人間模様を鮮やかに写しだし生きる指針を暗に示している。

 此れを国策だとか洗脳だとか言うのはたやすいことだが、国民に一つの指針を与える手段として活用することは決して悪いことでは無いと思うのだ。歴史教科書をアーだコーだと言うよりもこのような立派な国策映画を作らせたほうがよっぽど効果的だと思うのだがいかがなものだろう。
by antsuan | 2005-05-17 10:15 | 身の回り・思い出 | Comments(2)
Commented by knaito57 at 2005-05-18 17:07 x
私も西部劇で……。バート・ランカスターが好きなので「ベラクルス」と「OK牧場の決闘」は10回くらい見ました。そのテイドですから「ダンス・オブ・ウルブズ」はあまり……(わが意を得たりです)。名作は多いですが「赤い河」がベストと思います。
映画全体でいえばかつては「カサブランカ」「市民ケーン」でしたが、今では「ゴッドファザー」です。誰かのせりふ「映画ってほんとに面白い」ですが、新作はつまらなくなりましたね。19世紀に頂点を極めた音楽のように、映画も最高のものは20世紀だけで出つくしたように思います。その要因は監督や俳優の才気と魅力にもよるでしょうが、私は「音楽も映画も、芸術としての奥行きはそれほど深くないから」と考えています。勝手無責任なコメントで失礼しました。映画となるとすぐ食いつくほうなので……。
Commented by antsuan at 2005-05-19 11:11
ゲーリー・クーパーがハリウッドで干されていたとき、バート・ランカスターは自分の独立プロダクションで「ベラクルス」を作り主役に彼を招いた。自分は悪役になって、、。憎いですよね。「赤い河」のモンゴメリー・クリフトと共演した「ここより永遠に」の軍曹役。痺れてしまいます、モー最高。サーカスのスターを育てて静かに去っていく、「空中ぶらんこ」でしたっけ?泣けてきますよね。人間味溢れる理性を持った俳優。私は彼によってアメリカンデモクラシーというものを教わりました。大好きです。