あんつぁんの風の吹くまま

ブログトップ | ログイン

群鶴中の一鶏



 達筆だった祖父は「殉国滅私」という文字を書いて額にして飾っていたほど愛国心が強かった。その思いが余って、戦火の激しくなる中にジャカルタ医科大学付属中央病院の院長として、わざわざ赴任したのだった。しかし大学の学長以下みんなが平服の白服だったのに一人軍服姿で歓迎会に臨み、その違和感に気付き「群鶴中の一鶏というところか」と自ら大笑いして一座の空気を和ませたという。

 戦況が芳しくない中においても、赴任教官は皆一人ひとり国民外交官としての自負と責務を感じ、特に祖父はインドネシアの青年学徒に対する民族意識の高揚と自覚を促すことに主点をかけ、信念を持って行動していたという。もちろん、これは海上輸送が壊滅的な打撃を被り、教えるべき教材が何もないためもあっただろうと推測しているのだが、やはりこれが真の教育者としての姿だろうと思う。

 内地帰還が実現するまでの間、軍政関係者は山村部落に団地を作り自活することになるのだが、インドネシア人の強盗に対しても英軍から許されていた自警用の銃を使用することに祖父は反対したそうだ。また帰還にあたっては、お役ご免の年寄りよりも若い者を優先するように働きかけたところ、逆に、復興への地ならしのために先に帰って下さいと若者に押し出されるように早く帰されたのだという話を、その時の関係者から聞いた。

 美しい国のために愛国心を囁く政治家どもよ、いっそのことイラクやアフガニスタンへ司政官として赴任したらどうか。政治家の使命は「殉国滅私」なのだ。
 
by antsuan | 2007-05-08 23:28 | 政治・経済 | Trackback | Comments(2)
トラックバックURL : http://antsuan.exblog.jp/tb/5359900
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by maron415 at 2007-05-09 13:15
政治家になろうと思う人は、自分の力でこの国をよくしたいと思ってなるのよね。(少なくとも建前はそうよね。)それに、望んで(望まれている人が何人いるのかな?)なるのよね。
美しい国大好きなお方は、いざとなったら真っ先に逃げそうだな。
で、政治家の使命は殉国なのか殉民なのかと思いました。
Commented by antsuan at 2007-05-12 23:03
・そうなんです。志願してなるのですから、当然、殉ずる覚悟がなくてはならないはずなのですが、おててつないでタラップを降りてくるおじさんにそれが出来るかどうか。
今だったら「殉民」でしょうね。でも国際関係に携わるわけだし「殉国」でもいいのかな。いやいや、こんな論争は無意味で空しくなるほど、「滅私」の覚悟を持つ政治家がいませんね。