あんつぁんの風の吹くまま

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望 郷

 若い頃はフランスという国が嫌いだった。なよなよした女っぽいだらしない感じがして好きではなかった。

 ところが、作家なだいなだの奥さんがフランス人だと知って少し関心を持つようになる。来日した時のあるハプニングが面白い。フランスではマスクをするということは何かを拒否することを意味していて、日本みたいに風邪を引くとマスクをするという習慣がない。それで、なだいなだの奥さんがフランス語の講師を引き受けて初めて教室に入った時に吃驚してしまったのだそうだ。多くの生徒がマスクをしているのを見て、講師としての自分を拒否していると勘違いしてしまい、マスクをしていない生徒を指しまくり講義をしたという話。

 その頃、シルビィ・バルタンのフレンチポップス『アイドルを探せ』も流行った。徐々にフランスに関心を持つようになって、大学ではフランス文学の講座を選んだ。忘れられないのは、モーパッサンの『脂肪の塊』を読んだ時だ。ピンと来た、あのジョン・フォード監督の名画『駅馬車』のオリジナルだと。これで謎が解けた、西部劇らしからぬ『駅馬車の』の秘密を。天地がひっくり返るほどのショック、アメリカ映画の原作がフランス文学だったとは。

 フランスを意識して初めてみた映画は『男と女』で、音楽だけでなく映像も素晴らしい。そして極め付きはジャン・ギャバンの『望郷』をNHKテレビで観た時だった。なんと、母が手を休めて一緒に観て解説してくれたのだ。

 母の娘時代を想像しながら何となく女心というものが分かって来たのは、ようやくというか、その頃だったと思う。
by antsuan | 2006-12-26 18:37 | 身の回り・思い出 | Comments(4)
Commented by saheizi-inokori at 2006-12-28 11:57
いいお母さんですね。私は母と見た映画は「喜びも悲しみも幾年月」が一番強く思い出になっています。あの歌を歌うときはついつい感情過多になってしまいます。フランス映画は一緒に見た記憶がないなあ。
Commented by antsuan at 2006-12-28 13:32
・高峰秀子の映画はみんな素敵で、心を打つものばかりですね。 母はけっこうミーちゃんハーちゃんだったようで、ターキー(水の江滝子)の追っかけをやっていたり、クラーク・ゲーブルやゲーリー・クーパーにも熱を上げていたらしく、楽しい娘時代を映画を観て思い出していたのだと思います。
Commented by cazorla at 2006-12-29 05:26
私も実はフランスは大好きです。
文学・音楽・・・・
クラーク・ゲーブルも好きです。 ちょっと悪な感じの男の人 現実ではおつきあいありませんでしたが。(笑
Commented by antsuan at 2006-12-29 13:00
・フランスの人間臭さがたまらなく好きです。
女の人ってみんなそういうタイプの男を好きになるみたい。「望郷」もそうでした。私の親友があのタイプで無色透明無味無臭の私と妙なコンビを組んでいたものです。