あんつぁんの風の吹くまま

ブログトップ | ログイン

置き忘れたもの

 敗戦の傷跡が残る時代に作られた教育基本法がようやく改正されることになりそうだ。その中身はともかく、改定することに今回は意義を見いだしたい。

 先週の読売新聞の編集手帳に、それに関することが書いてあったので転記する。


 [編集手帳]  日清戦争で連合艦隊司令長官を務めたのは伊東祐亨(すけゆき)である。清国・北洋艦隊の提督、丁汝昌(てい じょしょう)に降伏を促した手紙は知られている◆列強に侵された清国に深い同情を寄せ、中国文化を守るべく亡命して他日を期すよう勧めた。日本の武士道が貴官を守る、と。丁は伊東の送った洋酒を懇篤な礼状を添えて返送し、毒を仰いで自決した◆博報堂の最高顧問、近藤道生さんの近著「国を誤りたもうことなかれ」(角川書店)に、その逸話に触れたくだりがあった。日本人が昭和戦争の動乱をくぐるなかで置き忘れたものを、自身の戦争体験を重ねつつ語った一冊である◆大切にしている心が自分の胸にあれば、相手の大切な心にも敬意を払う。触れられて痛みを感じるのであれば、相手のそれにも触れない。愛国心とは本来、他の国、民族への思いやりを含んでいるのだろう◆「国を愛する態度」も争点になった教育基本法の改正案が衆院を通過した。参院の審議に移る。誰しも昭和戦争の当時を思い浮かべるのは致しかたがないが、視線をもっと遠くに投じた議論があってもいい◆丁汝昌のなきがらが粗末な小舟で故郷に帰ることを知った伊東は、没収した清国商船の中から一隻を独断でこれに充てた。凱旋帰国して、明治天皇に報告した第一声はこの処置に対する謝罪と責任伺いであったという。


 教育基本法で変えねばならないのは我々の心であろう。人を思いやる心、これこそが教え育まねばならない基本事項なのである。
by antsuan | 2006-11-20 18:21 | 文学・教育・科学・医療 | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : http://antsuan.exblog.jp/tb/4215334
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by seilonbenkei at 2006-11-20 23:16
「視線をもっと遠くに投じた議論があってもいい」
こういう議論をしてくれてるならいいのですが、どんな議論がされたかも公表されず、ただ「100時間」とそればかりを協調するのはいかがなものかと。
Commented by antsuan at 2006-11-20 23:32
・民主党は自分の出した法案を丸飲みされては困るんで審議拒否をしてるんですが、国会も機能不全をおこしてしまっていますので、それを少しでも回復させるためにはさっさと議決した方がよろしいかと思います。
Commented by saheizi-inokori at 2006-11-21 10:53
法律で心は変わらないとおもいます。
変えられると思う人たちが権力をふるうことで子供たちや先生、親が影響を受けていくことはあると思いますが。
かつて通った道?
Commented by antsuan at 2006-11-21 12:27
全くもってそうでした。となると、教育勅語ですか??
 うーーむ、どうやったら人の心を変えることが出来るのでしょう。まずは上に立つものが模範を示すことなのでしょうね。「苛めは恥ずかしいことです」なんて書面を棒読みするモンカ大臣には恥ずかしいという意味すらおわかりにならないようで、まわりの大人はみんな反面教師ばっかり。嫌になります。