あんつぁんの風の吹くまま

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「公害原論」

 本日、私に研究する意欲を持たせてくれた、宇井純沖繩大学名誉教授の訃報に接した。冥福をお祈りする。

 沼津の愛鷹山に出来た海洋学部教養課程の学舎は茶畑の中にあった。天気の良い日は太平洋を一望出来て素晴らしいのだが、海風が富士市にあるパルプ工場の異臭を運んできた。北海道の苫小牧でも同じ臭いがする。

 その頃は、水俣病やスモン病などの行政の不手際による公害が社会問題化して、東京大学の助手の宇井純氏が「公害原論」の自主講座を開いていた。大学も違い学部も違うけれども、そう云う問題を研究しようと、学生が集まって「公害研究会」と云う自主講座を、教養学部の教授の支援を得て立ち上げた。

 原爆による回遊魚の放射能汚染に始まり、水俣湾の有機水銀汚染など、海の浄化作用と無関係な有害物質が海を汚染し始めた事を考えねばならないと思ったからだった。しかし、その支援してくれた教授が左遷され自主講座は大学の事務当局にあっさりと潰された。東京大学でも同じような事が起こっていた。宇井純氏は大学当局から疎まれ、研究活動は教授以上であったのにずっと助手のまま冷遇されていた。

 その時、大学は死んだのである。研究する大学から就職予備校に自ら身を落としたのだった。
by antsuan | 2006-11-11 22:51 | 文学・教育・科学・医療 | Comments(0)