あんつぁんの風の吹くまま

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読書の秋でもありました

 読書の秋、そういう季節でもあった事を思い出しました。今年は例年になく沢山の本を年初から読んでいる気がします。思えば、本を親しむようになったきっかけは学校の友人から薦められた本を読んでからと記憶していますが、それまでは、学校の夏休みの宿題として夏目漱石や芥川龍之介などの文学本をしぶしぶ読んでいたのでした。

 中学一年の夏ごろだったでしょうか、「愛と死を見つめて」と云う題名からして女の子が読むような本を友人が読んでいました。その友人は彼のお姉さんの本棚から失敬したらしいのですが、実話であった不治の病の彼女との悲恋物語に、私ものめり込んでしまいました。そのあたりから友人と本の話題をするようになって、別の友人が岩田豊雄の「海軍」と山本周五郎の「さぶ」を貸してくれました。

 前にも書いたと思うのですが、その頃の私は西部劇などの洋画に夢中で、チャンバラや時代劇などの映画も本も全く興味がありませんでした。ですからもしその友人が本を別々に持ってきてくれていたら、「さぶ」の方は断った事でしょう。しかし二冊いっぺんに貸してくれたために「さぶ」の方もしぶしぶ借りたのでした。

 あいにく、獅子文六のペンネームを持つ岩田豊雄の「海軍」は大して面白くありませんでした。それで「さぶ」の方もあまり期待しないで読み始めたのですが、冤罪事件を絡ませた時代ものの庶民のひた向きな生き様を描いた小説に、いつの間にか引き込まれてしまったのです。

 こうやって振り返ってみると、自分にとって「冤罪」と云う問題を持ち始めるきっかけになった本だと思いますが、それはさておき、それまでは毎週のように購読していた、漫画「少年サンデー」、「少年マガジン」をきっぱりやめて山本周五郎の本を読みあさりました。お陰で、今まで私の漫画をくすねて読んでいた兄は、自分で買わねばならなくなって文句を言ってくる始末です。

 しかし、山本周五郎の短編小説は学校の行き帰りに読むには丁度よく、映画になったり、お芝居でやったりと話題が豊富で、そういうことから友人の輪の中に入っていく事が出来ました。また、文庫本を読んでいるうちに新潮社から山本周五郎全集がでる事を知り躊躇なく注文しました。もっとも、その全集の殆どを兄が持っていってしまったために今残っているものは僅かです。

 周五郎以外には、現代物でよく映画にも取り上げられた、石坂洋次郎、源氏鶏太、獅子文六の本を取っ換え引っ換え読んでいました。本の内容も、明るく未来に向かって進んでいくような、まさに戦後の希望に満ちた時代を反映させていたのです。
by antsuan | 2006-10-04 18:18 | 身の回り・思い出 | Trackback | Comments(7)
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Commented by mitsuki at 2006-10-05 05:10 x
友達が貸してくれる本というのは内容もさる事ながら、普段は勝気なのに片思いの純愛を綴った小説に心惹かれていたとか、その気は無いと思ってた人がモロにオタクだったり、それまで分からなかった友達の内面をうかがい知ることが出来るのが良いですね。
Commented by antsuan at 2006-10-05 07:47
・mitsukiさん、お早う御座います。
友人の内面を知るだけでなく、こちらの内面も知らないうちに発信していたんですね。田舎者の私が横浜っ子の友人の輪に溶け込めるようになったのもそんなところからだと思うのです。
Commented by cazorla at 2006-10-05 08:43
私と夫も親しくなったきっかけが本でした。
デズモンド・モリスという生物学者の書いた「裸のサル」という本。
ちょうど同い年で たぶん二十歳くらいの時にみんな読んでいたんだと思います。 だから はなしのきっかけができて。 国がちがっても 当時どこの国でも同じ本を読んでいたのでしょう。 
共通の唄ももちろんありますが。
Commented by knaito57 at 2006-10-05 10:29
大きくなったら何になりたい? と聞かれた小学生の私の答えはもちろん「軍人さん」でも「サッカー選手」でもなく「本屋さん」でした。結局、本とつき合うことの多い人生で、蔵書への信仰・憧れが根深いままトシをとりました。ところが、近年は全集ものはもちろん蔵書の習慣が無くなってきているんですね。住宅事情・インターネット・図書館など要因はさまざまでしょうが、読んだら捨てる時代。なけなしの金で懸命に集めた書物・レコード・CDを抱えて、戸惑っているおやじです。
Commented by antsuan at 2006-10-05 16:10
・AWG治療さん、ブログの内容と一致しておりませんのでコメントを削除しました。
Commented by antsuan at 2006-10-05 17:20
・cazorlaさん、そういう出会いを夢に見ていたのですが、とうとう実現しませんでした。でも国を越えての出会いの夢は見ていなかったなー。(笑)
Commented by antsuan at 2006-10-05 17:20
・私も自分で買った本はなかなか捨てる気になりません。それにしてもそれ程本屋さんに憧れた理由は何なのでしょう。本屋さんって青春のかなりの部分に係わっていたように感じて、私の成長を見続けてくれた本屋さんが数年前に閉店してしまった時は、青春時代が全部セピア色になってしまったような気がしました。