2006年 08月 14日
戦争責任を考える
成功は失敗の元。大東亜戦争の責任の75パーセントは外務省にあると考えています。そしてその源は小村寿太郎にまで遡るのです。彼は日英同盟を積極的に推進し、日露戦争の戦時外交を見事にまとめた立派な外交官であり政治家でありました。が、しかし、日露戦争後の外交で、満州鉄道の利権に関し米国資本との共同経営を、首相や元老らの意見を取り入れず頑強に拒否したのです。米国の仲介がなかったら終結出来なかった日露戦争ですが、それとは別に「言葉での戦争」という外交で最後は米国を敵に回してしまったのです。
ハーバード大学に留学し法律を学んだ彼は、米国の体質(人種差別)をよく熟知していたと思うのですが、返ってそれが政治家としての戦略的判断に災いしたのかも知れません。もし、あの時「満鉄」を日米で共同開発していたら、太平洋戦争はなかったでしょう。 しかし、それは彼の責任ではありません。その後の日米外交においていくらでも修復する機会があったのですから。ただその時から、日本の外務省は、米国はペリー提督の昔から砲艦外交をしてきた国である事を忘れてしまったのです。 その結果、日本の駐米大使館は日米開戦まで、いやそれ以降も、米国政府の真意を全く探ろうとしなかったのです。その事の方が重大な失敗だと思っています。あの宣戦布告文を手渡すのが遅れた大失敗の責任は野村駐米大使にあります。いかに駐米大使館に危機感がなかったかは、帰国する書記官の送別会のために、あの前の日は大使館を空にしていた事からも証明されています。あの時、野村大使が腹を切っていれば戦争はそんなに長引かなかったでしょう。なぜならそれによって日本の武士道を米国政府は知る事が出来たからです。 そのほか、国際連盟脱退、三国同盟締結など、日本の政治経済戦略を無視し、昭和天皇の意向に沿わない、外務省と云うコップの中の争いだけに明け暮れていた結果、軍部の台頭を許してしまったのでした。さらに、二・二六事件の時には天皇陛下が自ら動いて軍部を押さえたのに、外務省は我関せずと『言葉での戦争』を放棄し、官費を使い享楽の悦に溺れていたのです。 武力による紛争解決を放棄した今、『言葉での戦争』に失敗は許されません。外交と云う政治問題を官僚に任せるような愚をしてはならないのです。それが大東亜戦争の貴重な教訓ではないでしょうか。
by antsuan
| 2006-08-14 12:26
| 思想・瞑想・時代考証
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Comments(2)
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realutopia at 2006-08-14 22:20
こんばんは。「言葉での戦争に失敗は許されない」まさにそのとおりですね。そのとおりですが、政治家の中には、言葉を大切にしない・抽象的なメッセージで煙に巻く・人の話を聞こうとしない、人もいますね。戦争責任で言えば、社を守るために大本営発表をそのまま流したマスコミにも反省の機運が少しずつ出てきてますね。ペンが剣よりも強い世の中であってほしいと思います。
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antsuan at 2006-08-14 22:35
「言語明瞭意味不明」なんて云われた総理大臣もいましたっけ。マスコミが反省している??それは信じられない。安全地帯で取材してどうやって真実が分かるものですか!!草の根記者は私の他にいっぱいいますよ。
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平成15年(西暦2005年)3月開設
世の中、理不尽なことが多すぎます。それが普通の世界だということがようやく分かってきました。しかし人間として生きるためには獣のように本能に心をゆだねるのではなく、精神をしっかり持たねばなりません。「健全なる肉体に健全なる精神を宿らしめよ」を自戒の言葉に、右左あんつぁん(東北弁で臍曲がりなこと)の本領を発揮して、いろいろ書いてみたいと思います。どうぞ宜しく。
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