あんつぁんの風の吹くまま

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文明開化の陽炎

 矢作俊彦著の「悲劇週間」には前書きも後書きも無い。しかもこの作者を私は全然知らなかったので、少々不安を覚えながら読み始めた。今ようやく四分の一を読み終えたところだ。何度もこのブログに書いているが、主人公の堀口大學はわが家の向かいに住んでいた。当たり前かも知れないが、この本の主人公の堀口大學と、私が会ったことがある本物の堀口大學とは全く違和感が無い。

 あまりに違和感が無いのでこの作者のことが気になり出した。そこで、文芸春秋のホームページから、自著を語る(本の話より)の「一○八歳の大學が綴った二十歳の青春」を見つけ出し読んだ。矢作氏は私と同い年でしかも葉山に住んでいたことがあると言う。写真の顔は何となく私と同じ秋田系のようだ。そんなことはどうでもいいのだが、矢作氏は一○八歳の堀口大學になり切ってのびのびと書き上げたと言っている。

 そう云う著者の話を聞いて、この本は「風と共に去りぬ」の男性版だと思った。文明開化が熟し始めた頃の、日本の新しい文化の陽炎がこの本から見えてくる。堀口大學はある意味で宮沢賢治とは対局に位置する詩人であったと思うけれども、見上げる空の青さと、心の中の赤々と燃える炎は同じではなかったかと取り留めも無く考えた。
by antsuan | 2006-06-09 18:09 | 思想・瞑想・時代考証 | Trackback | Comments(0)
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