あんつぁんの風の吹くまま

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愛が希薄な社会

 エイズは死ぬ病気かと思っていたら、いつの間にか慢性病になっていた。もっと驚いたのは、半生を医療研究やボランティア活動にかけてきた本物の医学者がいたことです。

 その人の名は稲田頼太郎博士。野口英世の現代版と言っては失礼かも知れませんが、昨年、日本エイズ学会の功労賞を受賞した博士は、ニューヨークの病院勤務の傍ら、臨床研究室、基礎・治療研究さらにエイズ研究財団を設立し、日本の医療従事者の研修やアフリカの医療体制構築などの奉仕活動をされています。

 昔の結核のような病気、若い人が罹って死んでいく病気、しかも子孫を残す行為で感染する病気。この病気を通して稲田博士は、人の生き様を、また人の活きていくコンセプトが見えたそうです。

 そして「みんなこの病気に罹らないことばかりを考えていた。コンドームだって自分が感染しないためであって、相手にうつさないためではなかった。愛というのは人に対するものでしょう。人に何かをしてあげられるためには、相手を想いやって理解しなければならない。人の気持ちや立場になって考えて行動すること。その気持ちさえあれば、エイズは食い止められるはずです」という博愛の精神を、稲田博士は今なお燃えたぎらせておられるのです。

 先進国でエイズ感染が増加しているのは日本だけだそうです。偏見や差別がはびこって、人を思いやる愛が希薄な社会だからではないでしょうか。
 
 ◆この記事は、リンククラブニューズレター4月号の「関係性の未来」から転用いたしました。◆
by antsuan | 2006-04-21 20:02 | 文学・教育・科学・医療 | Comments(0)