あんつぁんの風の吹くまま

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ベストセラーになって欲しい本

 藤原正彦氏の「国家の品格」を読み終えました。題名からして男っぽい堅苦しそうな本ですが、筆者も言っているように講演内容に加筆して本にしたものなので、気軽に読めてしまう本です。

 右左あんつぁんとしては、日本が私と同じに世界の中で異常な国、へそ曲がりな国であった事を証明してくれた、まさに我が意を得たりと喝采したくなる本です。日本の教育者全員がこれを読んでほしい思います。

 初めて知りましたが、数学においては正しいか間違っているか判定出来ないものが必ず有ると云う事が証明されているそうです。また、理論は見方によっては正しいとも証明出来、間違っているとも証明出来る。つまりは自由主義、平等主義、共産主義、資本主義、民主主義などどんな理論も破綻すると云う事実。従ってそれに付加するべきもの、論理の出発点を正しく選ぶ為に必要なもの、それが日本人の持つ美しい「情緒」や「形」であると、筆者は主張しています。そして数学者ならではの明快な論理によって道徳的精神の必要性を説いています。

    日本の四季と云う神の恩寵とも言うべき特異な環境の中に
   何千年も暮らしていると、自然に対する感受性と云うものが
   特異に発達する。この感受性が、民族の根底に年月をかけて
   沈殿している。
   「もののあわれ」の他にも、日本人は自然に対する畏怖心とか
   跪く心を元来持っている。欧米人にとって自然は、人類の幸福
   の為に征服すべき対象です。しかし、太古の昔から日本人で、
   「人類の幸福」などと云う目的の為に、「自然を征服すべき」
   などと思った輩は一人もいない。自然と云うのは、人類とは比較
   にならないほど偉大で、ひれ伏す対象だった。自然に聖なるもの
   を感じ、自然と調和し、自然とともに生きようとした。そう言う
   非常に素晴らしい自然観があったのです。だからこそ神道が生ま
   れた。
    この情緒が、ある意味で日本人の民族としての謙虚さを生んで
   きた。「人類の幸福の為に自然を征服する」などと云うのは、
   手に負えない人間の傲慢です。
    ・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・
    そう言う意味で、二十一世紀はローカリズムの時代と、私は
   言っている訳です。世界の各民族、各地方、各国家に生まれた
   伝統、文化、文学、情緒、形などを世界中の人々が互いに尊重し
   あい、それを育てて行く。このローカリズムの中核を成すのが、
   それぞれの国の持っているこうした普遍的価値です。日本人が有
   する最大の普遍的価値は、美しい情緒と、それが育んだ誇るべき
   文化や伝統なのです。


 山折哲雄氏の「日本文明とは何かーパクス・ヤポニカの可能性」が哲学的やや難解な論理であるのに比べて、本書は数学的な切れ味の良い明快な論理によって日本のあるべき姿を説いています。養老孟司氏の「バカの壁」以上に売れるならば、まだまだ日本は捨てたものじゃないと思います。日本はこれからも異常な国であって欲しいと願っています。
by antsuan | 2006-02-13 20:27 | 文学・教育・科学・医療 | Comments(0)