あんつぁんの風の吹くまま

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青春の始まり

 「ウエストサイド物語の」のロバート・ワイズ監督が亡くなった。数々の名作を残してくれたことを感謝するとともに冥福をお祈りする。

 あれは小学校を卒業する前の正月だった。兄が友達と東京で映画を見るというのでついて行った。西部劇を見るはずだったのに約束が違ったが、これは気の弱い兄が一人で東京に行けないので弟の私を誘い出す口実だったらしい。

 有楽町のピカデリーだった。ふわふわの赤じゅうたんの階段を上って劇場の中に入った。ミュージカルと云うものを全く知らなかったし、兄に騙されたことで不機嫌だったが、それは開演するまでのことで、始まると臨場感あふれる音にそのまま映画の中に吸い込まれていった。
 
 映画が終わってもぼう然としていて、みんなに促されて席を立ったが、あの赤いじゅうたんを踏んで降りた気がしないほど、身も心も宙に舞っていた。もちろん、指を慣らしながら帰った。

 あれはもう四十年前のことになってしまった。あの映画を見て私の青春が始まったのである。本物の名作を若いうちに観る事が出来て幸せだった。もうあの感動を味わうことは無いだろう。
by antsuan | 2005-09-16 23:48 | 身の回り・思い出 | Comments(0)