あんつぁんの風の吹くまま

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松下翁の資本主義国家像

 日本の戦後の経済社会こそが、社会主義者の目指していた理想の国家像なのだと、経済学者が良く言うことがある。其れは事実だと思う。

 敗戦により無一文になった国家が、民衆の意識の下に政治家と官僚が一体となって集団指導的復興政策を実施し、海外からお金を借り入れ、また国民一人ひとりのお金を預かり、そのお金を資金にして復興に重点をおいた産業に融資をし、後に護送船団方式と云われるようになった国の保護政策の中で産業が発展して行ったのである。

 したがって日本の財界においては、財閥を解体されて、ほとんど本当の資本主義国家を理解できるものはいなかった。その中に在って、松下幸之助だけが、産業を通じて国民の幸せを考え続けた、真の資本主義的国家像を描けた唯一の人物であった。

 彼は無借金経営を目指し実践した。今のトヨタ自動車も無借金経営である。これが資本主義の基本なのである。松下幸之助は日本の国民が幸せになるためには国家が無借金経営をしなければならないと考えた。しかし、彼の夢とは裏腹に多くの政治家や官僚、それに護送船団方式のうま味を味わった財界のサラリーマン経営者が資本主義国家たることを放棄して、国民からの税金や預かったお金を湯水のように無駄遣いし始めた。

 松下幸之助は憂国の情をもって、松下政経塾を創り、晩年近くになっては新党を立ち上げようとしたが、彼の志を理解する財界人も、借金経営をしていたがために、国の息のかかった融資の貸しはがしを恐れ、一緒に立ち上がろうとはしなかった。

 松下翁が亡くなって十七年、今や日本は世界一の借金王国になってしまった。日本国民は未だに幸せのための国家像を描けないでいる。しかし資本主義経済の社会に属する日本の目指すべき国家像は、借金のない資本力のある国家でしかないはずなのだ。資源のない日本、人的資源においてもチャイナやインドに遠く及ばない。

 ただ、幸いにして国の借金の多くは外国に依存しているのではない。これからでも遅くはない。松下翁は当時十年計画で無借金国家の実現を目指したけれども、其れを今度は三十年計画に延ばせばよい。自分の時代には無理だが、そうすれば子供の時代、孫の時代には、社会保障のほとんどを国家の資本が生み出す利潤で賄えるようになるはずなのだ。そのためには極力小さな政府にし、行政事業(サービス)を民営化することが絶対条件となってくる。

 心配することはない、無税国家のシナリオはもう既に松下翁によって描かれているのだ。
by antsuan | 2005-08-25 12:51 | 思想・瞑想・時代考証 | Comments(0)