あんつぁんの風の吹くまま

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シーマンシップは科学者の心得でもある。

 どうしてだか分からないのですが、私が学生の頃に盛んに持て囃されていた「人間工学」という言葉を、さっぱり聞かなくなって久しい気がします。人間は必ず間違える。その間違えを少なくする学問を「人間工学」というのだと思っているのですが、その考えが間違っていたのでしょうか。

 日本は電気が安定供給されていたお蔭で、確かにいろいろ便利な社会になっています。しかし、"便利"なのが"生活しやすい"ことなのでしょうか。

 失敗学会という学会があるそうですが、そのホームページで今回の福島第一原発の事故の教訓について「原子力に真の安全を」という題の寄稿文が載っていました。

 大きな犠牲を払ってから改善するのを「墓石安全」といい、それに対して、何も起こらないうちに問題点を追求して対策を立てる方法を「予防安全」というのだそうですが、今回の福島第一原発はこの「予防安全」のイロハも為されていなかったことになります。

 ご存知のように、航空事業は大きな危険を常に抱えて運行されています。その運行の原点となっているのが、(1)空は危険である、(2)自然の法則は変えられない、(3)人は誰でも間違える、という「3つの真理」なのです。この考えが「人間工学」なのです。

 この最初の真理を「原子力は危険である」とおきかえて、安全対策を立てればよかったのですが残念ながら後の祭りです。遅きに失してしまいましたが、これからは、貴重な「墓石安全」による十分な対策を立てることが望まれます。

 ちなみに、航海においても先の「三つの真理」は活きていて、それがためにシーマンシップが尊ばれるのです。シーマンシップこそは数えきれないほどの「墓石安全」による教訓から得た技術であり心得なのです。
by antsuan | 2011-05-14 11:14 | 文学・教育・科学・医療 | Comments(10)
Commented by HOOP at 2011-05-14 14:55
昨夜、初めて訪れた居酒屋で本船の設計をやっていたという人と話しました。
彼に言わせると、航空機と船では、設計上想定しなければいけない危険性は
船の方が何十倍も大きいのだと言うことでした。
そして、それはしっかり彼らの思想として身にしみているのだそうです。
Commented by antsuan at 2011-05-14 16:56
・そういう設計をしてでさえ船は沈むことがあるのに、原子力事業はいまいちどこの三原則をもとに運営して欲しいものです。
Commented by HOOP at 2011-05-14 17:04
新杉田の東芝に、東電からはちゃんとデータが届いているのでしょうかねぇ?
前出の人はその隣の会社(I社)みたいでした。
Commented by antsuan at 2011-05-14 19:57
・HOOPさん、応援部隊にも隠していると考えておいたほうが無難でしょう。
Commented by HOOP at 2011-05-15 08:47
昨夜は三菱重工業の大宴会に出くわしました。
胸に三菱のマークをつけた作業服の若者がわいわい飲んでましたよ。
Commented by antsuan at 2011-05-15 10:20
・HOOPさん、若い技術者は今一度人間工学を見直して欲しいものです。
Commented by HOOP at 2011-05-15 15:37
土曜日だし、作業服だし、妙だなと思いましたが、
ニュースを見て納得しました。
休日返上して頑張った、メガフロート防水改造チームの
完工打ち上げだったに違いありません。
Commented by sweetmitsuki at 2011-05-15 16:05
とあるゼネコンの工事現場では「安全のABC」をスローガンに掲げてましたよ。
当たり前の事をバカにしないでちゃんとやる。の略だそうです。
Commented by antsuan at 2011-05-15 18:01
・HOOPさん、もうメガフロートなんて必要なのでしょうかね。
十万トンクラスのタンカーを徴用していたら、汚染水の問題はとっくに解決していたでしょうに。
メルトダウン隠しは、原発事故が津波ではなく地震によるものであることを隠ぺいしようとしていたからだと思うのです。
Commented by antsuan at 2011-05-15 18:05
・mitsukiさん、もともと官僚は国民をバカにしていますから、このスローガンは御用企業には無意味でしょうね。