あんつぁんの風の吹くまま

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完走、葉山初島ヨットレース

          夜間航行のお月さまは本当に良い友です。
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 まさにヨットレースのための風といってよいほど好い天気に恵まれた十九日、葉山ヨットクラブ主催の相模湾を横断する第八回石原杯葉山初島ヨットレースに参加してまいりました。ほとんど丸一日かかりましたが、結果は成績表の通り「完走」です。昨年は折り返し点の初島を回れなかったことを考えると立派な成績です。

 この一年、まさに棄権した去年の雪辱を果たすべく、愛艇バレリーナIIの装備を充実し、レース経験を積み、最後には下田クルージングで初島を偵察して来ました。そしていよいよと云う時に、昨年参加した仲間が二人も仕事で参加出来ないことになり出場が危ぶまれたのですが、急遽、相模湾の海(の中)を知り尽くしているHOOPさんの応援を得てどうにか出場に漕ぎ着けたのです。

 何はともあれ、その努力が実ったのですが、レース中に胃が痛くなるようなことが三度もありました。

 最初は、いつものことなのですが、スタートの時刻に間に合わずスタートラインの前に残ってしまい、スタートした艇にやんわりと注意を受けたのです。何しろ退きたくても風がなくなって方向転換もままなりません。何とか半艇身差で交わしたものの今度は本部艇にぶつかりそうになり、下手をすると失格になるところでした。

 その次は、初島回航の時です。昨年はここで夕凪に会い、逆潮に流されて悪戦苦闘の揚げ句、棄権したのでした。そのまさかの悪夢が再現されそうになったのです。ここの潮の流れを知っている艇は、みな初島をなめるように近寄ってから方向転換して回航していきます。こちらは風があるからと油断して遠回りして行こうとしたのが失敗でした。方向転換した途端に潮で戻されて初島に近づくことが出来ません。おまけに、未だ日が高いので直ぐに風が無くなることはないと思っていたら、すーっと風が無くなって凪がやって来ました。

   目の前に初島があるのにどうしても近づくことが出来ません
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 去年と違うのは、逆潮がそれほどではなくて島の近くに留まっていられたことでした。風さえ吹けば何とかなる希望が残されていたのです。

 しかし、みんなは殆ど諦めムード。直ぐそばの熱海には好いホテルがあるとか、ヤケになって冗談を言いあっていました。
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              伊豆の山に沈む太陽
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 レースの途中棄権を、陸上本部に連絡する期限を日没の時刻と決めましたが、日が傾いてきてその時刻が刻々と近づいてきます。去年参加した仲間が心配して、上海から電話してくれたもののどうにもなりません。しかし、その彼の想いが風となったのでしょう。上海の方角、つまり西の風がソヨと吹き始めたのです。一同、さっと位置に着いて帆を微妙に調整し、見事に風をはらみ、艇は進み始めました。

 何とか島に近づくことが出来たものの日が落ちて暗くなってきました。気は焦り、なるべく最短距離で島を回ろうと、水深計を読みながら進んで行きます。なかなか島の先端を交わすことが出来ません。誰からともなく、島から離れたほうが潮の影響も弱くなって風をしっかり掴むのではないかと言う意見が出て、思い切って艇を伊東方面に向けました。

 それが功を奏して無事に島を回航することが出来ましたが、みな疲れがたまっていて感激の言葉もありません。また、風も安定しないのでスピンネーカーを展開するのは諦め、夜の航行は二交代制で二時間ずつ休憩を取ることにしました。

 午前三時頃には、ようやく、目差すゴール地点の葉山港の赤灯台の明かりが見えて来ましたが、定置網や暗礁が気になったので、江ノ島に向かって徐々に進んで行きました。そして、三度目の胃の痛くなる出来事が日の出とともにやって来たのです。

             ゴールの葉山から昇る太陽
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 そうです。夕凪があれば必ず朝凪もあります。レースのタイムリミットは午前八時です。航海計器の予想到着所要時間は一時間半と表示されています。しかし、それが何時間も同じように一時間半のままなのです。つまりゴールに近づいているものの進む速度がどんどん遅くなってきているのです。昨日のスタート時にも風はほとんどありませんでしたから、ゴール直前で風が無くなることも十分考えられます。

 ここまで来て、時間切れで完走出来なかったら泣くに泣けません。もう咽がカラカラになってしまいました。おまけに漁船が何杯も引き波を立てて出港して行き、艇を揺らします。ゴールライン直前で方向転換をしてようやくラインを切ることが出来た時には、みな力を出し切っていて、ヘトヘトでした。

 しかし、その甲斐があって、表彰式のパーティーでは、見事完走した賞賛の言葉を皆さんから頂くことが出来ました。自然を相手に戦った海の仲間たち。これでまた、みんなとの絆が深まりました。
by antsuan | 2010-09-21 05:24 | 自然・ブルーウォーター・競技 | Trackback(1) | Comments(12)
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Tracked from 掬ってみれば無数の刹那 at 2010-09-22 09:54
タイトル : 20年ぶりの'Sailing'
ヨットが好き。そんなことを思ったのはいつのことだっただろう。 そういえば、海に行った回数なんて、大学に入る前には10回もなかっただろう。 でも、海の絵を描くのが好きの子で、その絵には必ずスループが浮いていたものだ。 就職してしばらく経った頃、 スクーバの講習を受けたり、小型船舶の免許を取ったりするうちに、 職場の先輩から誘われて、江ノ島をベースに何度か宴会クルーズに参加した。 無風があり、強風があり、鏡のような海面もあれば、 高いうねりのてっぺんが風で砕け...... more
Commented by HOOP at 2010-09-21 20:01
風の神、福(吹く)の神になるつもりが、お役に立てず申し訳ありませんでした。

でも、立派な時間内完走です。
お疲れさま、そしてありがとうございました。
Commented by antsuan at 2010-09-21 20:16
・いやいや、レースに出場出来たのもHOOPさんの御陰です。

そして、マゼランの気持ちが少しは分かるような気がしました。

これに懲りずにまた宜しくお願いします。
Commented by sweetmitsuki at 2010-09-21 21:21
海に出掛けたまま更新しないのでちょっと心配になっていたところです。
ニュースで葉山沖ヨット転覆という報道をしてないのでまさかとは思っていましたけど。
時間内完走おめでとうございます。
Commented at 2010-09-21 23:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by antsuan at 2010-09-22 05:12
・mitsukiさん、ご心配をおかけしました。
クラシックタイプの船ですので、風に切り上がる効率が悪く、なおかつ重量があるので、微風になると極端に性能が落ちてしまうことがよく分かりました。

今回は、HOOPさんの助けがなかったら、出場したとしても、去年と同様に初島で途中棄権していたことでしょう。
洋上オフ会に、是非mitsukiさんも参加しませんか。毎度のことなのですが、レースは二の次で。(笑)
Commented by antsuan at 2010-09-22 05:12
・鍵コメ様
いやいやレースというか、ずっこけ珍道中といったほうが正しいかも知れません。(笑)

確かに受け取りました。ちょうど税務監査が来月に来ることが決まったので助かりました。
Commented by shinn-lily at 2010-09-22 08:15
コングラジエーション!

レースの成績表を見たのも初めて、ヨットってこういう動きというのも初めて、自然と精神と体力と知識と、全ての総合スポーツなのだなと、興味深かくて、知らない世界をちょっと覗かせてもらいました。
よかったですね。

ちなみに、コングラジエーションは当社大型案件受注の時かわす、最高位の言葉で、ここだけの英語採用、グローバル企業には程遠い・・・。
Commented by antsuan at 2010-09-22 09:14
・リリーさん、ありがとう。
おじさんたちはそれなりに必死に頑張ったのであります。
しかし、ゴールにたどり着いた時は喜ぶ元気もありませんでした。(苦笑)
イヤー、実に涙ぐましい努力の成果でありました。(笑)
Commented by eWIND at 2010-09-22 19:29 x
DNFじゃなくて良かったですね、土曜日は風があったものの日曜は1-2mの風で外房から横浜までクルージングしてました。
でもよくやるなぁ僕だったらとっくにEGかけてる。
Commented by antsuan at 2010-09-23 04:16
・eWINDさん、ロングキールの船は潮に流されやすいことがよく分かりました。
思い出すだけでも涙が出てきますよ。(笑)
Commented at 2010-09-28 18:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by antsuan at 2010-09-28 19:28
・鍵コメさん、貴重な情報を有り難う御座います。
勉強になりますね。