あんつぁんの風の吹くまま

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鎮魂・慰霊は明日を正しく生きる約束


   月かげの虹
       堀口大学詩集 (筑摩書房)より


錆びた祖国の土の上

 戦争のあの悪夢が醒めて
 まやかしの千の希望が消えたあと
 (握った指のあいだから
 こぼれる砂のあの気持ち!)
 寒気と饑餓のどん底で
 宇宙の外へ締め出され
 ぺとつく闇に包まれて苦い時間をなめ続け
 十年僕らは生きて来た
 錆びた祖国の土の上

 ああ 祖国!
 敗戦に毒害される時までは
 少しは増しな国だった
 それはまだ〈わが国〉だった
 内灘も 砂川も 〈杭〉を打たずに
 測量出来た

 兄弟よ その頃の祖国の土を思い出せ!
 (錆びた祖国の土の上)
 ありあまる花弁さながら
 花園に蝶が舞ってたあの土を
 思い出せ 思い出せ 兄弟よ
 (錆びた祖国の土の上!)

 いま 砂川の里芋は
 怒りに凍てて石と化(な)る
 内灘沖の魚族たち
 恨みを骨の髄に知る
 昼もそうしてまた夜も
 我らの空を耕して
 ついに休まぬあのものは
 星のしるしの飛行機は
 大鎌の億兆倍も強力な
 核爆発によるという
 〈死〉のとりいれの準備する!
 銀河は三途の川なのか?
 錆びた祖国の土の上!

 鎮魂・慰霊は明日を正しく生きる約束ではありませんか。

 我らの祖国愛は錆びていないだろうか?

=★=この詩は四年前にも載せましたが、今一度、鎮魂と祖国愛を考えたいと思い、再掲しました。
by antsuan | 2010-08-07 23:17 | 思想・瞑想・時代考証 | Trackback | Comments(2)
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Commented by saheizi-inokori at 2010-08-08 09:30
祖国愛のことよりもかつて冒した過ちをもう一度心に喚起して戒めとすることが鎮魂・慰霊につながると思います。
そしてそれが結局祖国愛なのだと。
Commented by antsuan at 2010-08-08 13:14
・慰霊をしたら、後はどうでも良い風潮になっているのが気掛かりです。

自らを戒める、それが明日を生きることができなかった人々への慰めでありましょう。そしてその自戒こそが祖国愛なのだと思います。