あんつぁんの風の吹くまま

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大衆文化の花が開いている国、にっぽん


 先の日下公人の本には、「茶髪の若者が『海ゆかば』を」と題して、次のようなことが書かれています。

 ・・・・・日本中が全部、みな進歩的文化人になったのかなと思うが、そんなことはない。権威ある新聞・雑誌に載っていない意見は、自分の身近で材料を集めるしかない。

 東映は、ヤクザもので儲けた映画会社だが、『男たちの大和』という映画を作った。・・・・

 ・・・・

 その中から主役を一人選んだのだが、この男も、最初は茶髪だった。それが面接を三回、四回と繰り返していくうちに、きちっとした服に着替えてやってきた。「おまえ、急にきちっとしてきたな、どうしたんだ」と聞くと、「いやぁ、先生に聞いたんです。『男たちの大和』という脚本を読まされたが、あれは本当ですか」と。すると、先生は「いや本当だ、全部本当だ」と、答えたのでビックリしたというのである。それならと思って、服装を取り替えてきたというのである。

 そういう人はほかにもいて、そのうち爆弾や機銃掃射でばたばた死ぬ場面を撮る頃になると、エキストラがみなしっかりして、百人の若者が、ぴしぴしと、まるで兵隊のように動くようになった。「自分と同じ歳の学生や少年たちがやったことだと思うと、あだやおろそかに出来ません」といってやるようになった。

 その後、映画が出来上がって、京都映画村の大講堂にみなを集めて完成パーティをやった。東映会長の高岩淡氏が、みなの前であいさつをしようと、壇上に立ち、二言三言いい始めたとたん、誰かが「海ゆかば」を歌い出した。すると講堂中が大合唱になって、会長は壇上で棒立ちになり、滂沱の涙を流した。という話を東映アニメ会長(当時)の泊氏が教えてくれた。「そうですか、茶髪のおにいさんでも、そうなるのですか。でも、そういうことは全然新聞に出ませんね」・・・


 今の我が国の偉ぶった報道界には辟易するものがありますが、こういう出来事を知るだけで、滂沱の涙が止まりません。
by antsuan | 2010-04-12 21:28 | 文学・教育・科学・医療 | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2010-04-12 23:10
滂沱の涙を流さなくなった日本人、くだらないお笑いをみてしょうことなしに笑っているだけ、腹の底から笑うこともなく。
大泣きするのも大切だと思いますよ。
Commented by antsuan at 2010-04-13 10:38
・佐平次さん、いまの若者だって大いに期待出来ると思うと、うれし泣きに変わります。