あんつぁんの風の吹くまま

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「お別れの会」


 つい先日の十四日にも、お世話になった鎌倉清泉小学校元校長シスター山路の記事を書きましたが、そのシスター山路が卒業した男子生徒にも会いたがっているという情報が入り、のぞみ会という卒業生の信者の会に参加してきました。キリスト教信者ではない私が参加するのは場違いなのですが、多分、これがお会い出来る最期の機会であろうと思い、仕事を休んで小学校に足を運びました。
 
 会場予定の講堂の重い扉を押してみると静かに開きました。広い講堂は何の飾り付けもされておらずガランとしていましたが、片側の窓から朝日が差し込み、臙脂色の緞帳に描かれた校章がくっきりと輝いていました。

 正式に声を掛けたわけでも無いにも関わらず三分の一ほどの席が埋まり、十時ちょうどにシスター山路は車椅子で現れました。もう私はそのお姿を拝見しただけで涙が出てきてどのように会が始まったのかも覚えていませんが、皆が差し上げようとした花束を受け取らず、代わりに出席していた男の卒業生全員をお呼びになりました。そして、そばに並ばせてお話になりました。
 
 「こうやって皆さんと一緒に神にお祈りするのは今日が最期です。あなた方はこのように立派になりましたけれども、それはこの学校に通わせて下さったお母様、お父さまのお陰だということを忘れないで下さい。そして、そこに神の愛があることを忘れないで下さい。」

 その後、シスターは並んでいた男の卒業生に自己紹介をするように促しました。わずか十人ほどでしたが、小学校開校時の卒業生から順にひとこと話をし、私の番になりました。先程書きましたように私は信者ではありませんので前に並ぶのも遠慮していたのですが、皆に促され前に出たのです。私は思い切って言いました。「この小学校で私は武士道を学んだのです」と。

 一緒に出席していた家内は赤くなって下を向いていたようですが、私は後悔していません。軍人の娘だったシスターは私たち男の子に向かっては「勇気を持って正義のために立ち向かいなさい」とお教えになっておられたからです。
 
 賛美歌を歌い、神に祈りを捧げ、お別れの言葉が終わると、シスターは静かに席をお立ちになりました。厳かで拍手をする雰囲気ではありません。再び花束を差し上げようとするのですがお受け取りにならず扉の方へ向かわれました。
 
 骨にガンが転移して入院中でしたので、もう歩ける状態ではないのですが一人一人にお別れをしたかったのでしょう。
 
 ゆっくりとお声を掛けられて去ってゆく間、ピアノの演奏が流れ、校歌が歌われました。

    永遠に散らぬ 永遠に散らぬ よき花手折り かざしまーせ
             かざしまーせ 清き泉に こころ ひたしーーて

by antsuan | 2009-11-21 18:21 | 身の回り・思い出 | Trackback | Comments(2)
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Commented at 2009-11-22 04:33 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by antsuan at 2009-11-22 08:37
・鍵コメ様、
シスター山路は神とともに私の心の中にいらっしゃいます。
私どものためにお祈りして下さる方がいらっしゃる幸せに感謝いたします。